泥沼通信

祭りの戦士 @ กลับมาจากกรุงเทพฯ

 

Category: 思想など   Tags: Thought  

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誤解をときつつ……

 さてbookloverさんに質問のお答えをいただいたのですが、「働かない」ことは目的だ、ということ。したがって「働かない」ことは戦略として考えているわけではない、ということでした。それは私自身の考えは違うものなのですが、まあそのことを問題にする前に少しbookloverさんの誤解をといておきたいと思います。

 まず、例の『「バカ」を啓蒙することで自分の首を絞める、という発想自体が私にはありません。』という言葉をもう一度説明させてください。
 つまりbookloverさんは、「バカ」たちを啓蒙して、その結果みんなが労働を忌避するようになってしまったら、誰も働かなくなって、結局私たち自身が働かなければならないはめに陥ってしまうぞ、という究極的状況を仮定して、そのことを「首を絞める」という言葉で表現した、と私は理解しているのですが………
 そうだとすると、確かに「働かない」ことを目的にしているbookloverさんにとっては、啓蒙が「首を絞める」ことにつながる、というのはわかります。ですが、「働かない」ことを目的にしてない私にとっては、「首を絞める」ということにはならないと思うのです。だって「働かなくてはならないのなら、働けばいいじゃん。」って思ってるわけですから。
 だから私が言いたかったのは、啓蒙が自分の首を絞めるという発想は「働かない」ことを目的にしているbookloverさんだけのもので、働いてもいいと考えている私には当てはまりませんよ、ということです。

 次に、bookloverさんさんが嫌いな「ねばならない」とか「べき」とかいう言葉遣いのことですけど、誤解を引き起こすようであれば他の言葉を選びますが、よく読んでいただければけっして「価値観の押し付け」として使ってるのではないとわかっていただけると思います。
 『その「働かない」という生き方を維持するために、「バカ」を「バカ」のままとどめておかなければならない……』と私が言った理由を説明しますと………
 『「バカ」を啓蒙することは自分の首を絞める……』というbookloverさんの考え方は、別の言い方をすると『「バカ」を「バカ」のままとどめておいたほうがbookloverさんの「働かない」生き方には都合がいい』ということですよね。つまりこれはシステムを肯定している発言だと思うのですよ。いくらbookloverさんが、『「バカ」のままほっとけば』いい、と彼らへの不干渉を主張していたとても、それはどうもアヤシイ。だってそうでなきゃ「啓蒙が自分の首を絞める」なんて多少なりとも危機感を含んだ言葉は出てくるわけがないでしょう。ですからbookloverさんの本音は「バカ」にはそのまま働いていて欲しい、という「現状の維持」にあると私には思えたので、乱暴であったかもしれませんが「「バカ」を「バカ」のままとどめておかなければならない……」という言葉を使ったのです。また『資本主義自体は維持させるべき』という言葉も同じ理由から使いました。



 確かにbookloverさんは、「バカ」に対して『価値観の押し付け』はしていないかもしれない。そして『「バカ」なら「バカ」のままほっとけば』いいと、あくまでも彼らへの無関心、不干渉、というスタンスをとってはいますが、その実bookloverさんの発言には「バカ」の労働を「働かない」という自分の立場の維持のためにこっそり利用したいという本音が見え隠れしているのです。
 19世紀のブルジョワジーは労働者に教育を与えるべきかどうかずいぶん議論したと言います。高い教育を労働者に与えたほうが、クオリティの高い労働力が得られる、という考えと、労働者に知恵をつけると自分たちの立場を理解して、ブルジョワへの反抗を企てるのではないか、という疑惑の間でずいぶんと揺れ動いたようです。『「バカ」を啓蒙することは自分の首を絞める』と言うときのbookloverさんと、労働者を啓蒙すべきかどうか議論しているブルジョワジーの権力的な言説とは奇妙にダブって見えるのです。

 不思議に思うのは、微視的権力なんていうオシャレな概念を駆使して「ニート」を語っているときのbookloverさんは、反権力の立場に立っているようにしか見えません。はやしさんもいってたでしょ、「だって(ニートを)メチャクチャ肯定してるもん。」って。なのに『「バカ」を啓蒙することは自分の首を絞める』と言ってるbookloverさんは、まるで権力側に立って発言してるように見えるんですよ。(はじめてbookloverさんにコメントをいただいたときに私が感じた違和感の原因はここにあるんだと思います。)
 多分、このあたりがbookloverさんの考え方のミソなんじゃないかと私は想像します。「働かない」で生きるというご自身の立場を説明し認めさせようとするとき、bookloverさんは反権力的な立場から資本主義社会のシステムとその規範を罵っていますが、逆に「働かない」というご自身の生活を維持し、守ろうとするとき『「バカ」を啓蒙することは自分の首を絞める』なんていう権力的な立場から資本主義社会のシステムを容認するような発言をはじめるのです。
 そして、この二つの立場の分裂の不整合のつじつま合わせのために、奇妙に社会から距離を取ったような態度………たとえばニートを肯定も否定もしないだとか、バカ」なら「バカ」のままほっとけばいい、とかいったスタンスを取らざるを得ないんじゃないだろうか、と私は疑うわけです。

 そのへんの不整合は、こうしてWeb上に意見を載せるときにも露呈している。ご自分でも書いている通り、私には「啓蒙はお勧めしません」と言ってるのに、あきらかにbookloverさんの書くものは啓蒙の役目を果たすものになっている。もし本当に『「バカ」を啓蒙することは自分の首を絞める』と考えているなら沈黙を決め込めばいいのではないかと思うのです。
 こうして私と議論を交わすことで、私がbookloverさんの意見に納得し、「働かない」立場に改宗でもしたとすれば、一人よけいに「バカ」どもの労働の果実のおこぼれにあずかるやつが増えてしまって、まさにbookloverさんの首を絞めることになるわけですよね。どうもご自身の発言が、その目的を裏切ってしまっている………。
 また、bookloverさんは、テキストの最後のところで『………に関しては、すでにaraikenさんご自身でされてるではありませんか。このように私と非生産的な、刺激的やり取りをするなど。それで十分なんじゃないでしょうか。』とおっしゃってますよね。確かにその通りで、この言葉には共感しましたが、bookloverさんにとってこのやりとりは「首を絞める」ものでないのかと逆に私は心配してしまいます。この「非生産的な、刺激的やり取り」はbookloverさんにとっても刺激的な快楽であると思うんですが、啓蒙の危険性を考えるとこの快楽は断念して禁欲的になったほうがいいのではないでしょうか(笑)。

 少なくとも私の場合、自分の語っている反権力的な言説の内容と、「非生産的な、刺激的やり取り」がもっている、非生産的ゆえに反資本主義的な行為の快楽との間に矛盾や葛藤はありません。まあ、そんなこともあって、bookloverさんの「働かない」ことを目的にした生き方というのは、「快楽」と言いながらも、なにやら禁欲的な要素(労働らしきもの)が忍び込みはじめていて、それは本当に心の底から楽しいものなんだろうか、と私は疑惑を抱いてしまうのです。………いや、bookloverさんがそれでもこれは「快楽」なんだ、というのなら私は何も言えないのかもしれませんが………。

 長くなってしまったので、もうひとつ、「資本主義システムの否定」についてbookloverさんが誤解しているところ(まあ、私の説明不足が原因なのですが)は、後日説明したいと思います。

Comments
 
[booklover] [2005/01/16 11:39] [ MyDoblog ] [削除]
時間そんなに必要ですか。自分の思ってること書くだけですよ。戦略ですかそれも。
[booklover] [2005/01/16 11:37] [URL] [ MyDoblog ] [削除]
人の論理矛盾(実際は矛盾ではなかったりする)を追及するときは、氏なりに慎重に決しておどけることなく、一歩一歩論点をずらしながら(よく、私の言葉を勝手に言い換え(すごい言いかえなんですよそれが)、じわじわ近寄ってくる割には、コメント欄では、口語口調の柔らかな文章で、さらには(笑)まで付け加える。これも氏の言う「戦略」の一つですか? 私には「戦略」みたいな発想はなかったですが。その二面性に、やはり氏はうまく立ち回ることのできる極めて政治的人間だという一面出てますね。別に悪いことじゃないですけどね。私にはいやらしく写ります。あの文章の後では。
[araiken] [2005/01/16 11:06] [URL] [削除]
わっ、また書いてくれましたねえ(笑)。ウン、やはり「資本主義の否定」のところを先にちゃんと説明したいんですが、スイマセンちょっと時間下さい。
 
「わかっていただけると思います。
 『その「働かない」という生き方を維持するために、「バカ」を「バカ」のままとどめておかなければならない……』と私が言った理由を説明しますと………
 『「バカ」を啓蒙することは自分の首を絞める……』というbookloverさんの考え方は、別の言い方をすると『「バカ」を「バカ」のままとどめておいたほうがbookloverさんの「働かない」生き方には都合がいい』ということですよね。つまりこれはシステムを肯定している発言だと思うのですよ。」
どうころべばこういう展開なんの。論理学って学問は知ってる。あれもう一回やり直してみたら。都合がいいからシステム肯定。都合よくたってシステム否定で金ジャンとかの問題じゃないの。あっちだめならこっち。なんでそう二項対立なの。おっさんの時代ってそういう単純なことしか勉強しないの。まー勉強しなくたっておかしいなって気づくやつは気づくけどさ。もういいね、説明。疲れるんだよね。はよ、資本主義否定論だっけ、楽しみにしてるからねー。
 
資本主義システムの否定」についてbookloverさんが誤解しているところ(まあ、私の説明不足が原因なのですが)
おいおい、おっさん一回も説明してないんだから、本来はこう書くの。
「資本主義システムの否定」についてbookloverさんに説明してないのでします」
なにが誤解だよ。せつめーも何もねーのに。言葉に対する感性なさすぎ。だからおいらがわざわざお前らのレベルまで降りてってやりたくもねー説明して、そんでもわかんねーだって。どういうばかよ。ほんと、ばかはうつるね。一晩でおいらも、まじばかになっちまったもんなー。あーもとからか(餓鬼的にはこんなかんじか)
 
あの、すいませんが、私これからある人と会う約束があり、帰宅は明日になります。つまり、時間切れということで、今日は返事が来ませんでしたので、今日はあなたの意見(?)を拝見できません。すみません。では。でもそんなに時間かかるんですかね。ご自分の意見なのに。不思議です。
 
返答読ませていただきました。今すぐTBしますので朝方にでも見てください。お疲れ様です。私の分析論よりも、問題は、araikenさんのいう「資本主義システムの否定」の方に重きがあると思うのですが、しがない私の心理状態分析をしたいのであれば、それに答えますので、少々お待ちください。論点がずれていかないようにとは思っているのですが、なんか、bookloverの心理についてに議論が移ってきましたね。

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プロフィール

荒井賢 (Ken Arai)

 住所 埼玉県越谷市
 生年月日 1964年2月15日
 職業 アニメーション背景制作
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