泥沼通信

祭りの戦士 @ กลับมาจากกรุงเทพฯ

 

Category: 思想など   Tags: 思想  

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相変わらずの「臭い」パフォーマンスだぜ!

 常野さんのパフォーマンス が、売名行為やアクセス稼ぎだけのためになされたとか、軽率でおとなげない無意味な煽りにすぎない みたいな言われ方をけっこうしている。こういうお騒がせでスキャンダラスなパフォーマンスは、ダダやシュルレアリスムの時代から白い目で眺められてきたものだ。確かに人間が承認を求めるものであるならば、名前も売りたいだろうし、戦略的にアクセス増大を狙っていたということもあったわけだろう。が、もちろんそれだけが目的ではないのは、どう見ても明らかでしょ、これ。講義に潜入しようとしたことも、報告を読む限りかなりへっぴり腰感があふれていて、想像するにかなり無理してると思いますよ、常野さんは。

 日本思想界のビックネーム、イースト先生 の講義に、誘いに乗ってマジに乗り込もうという魅力的なアイディアを思いついたものの、けっこう逡巡したんじゃないだろうか。こんなことわざわざおっぱじめる必要があるんだろうか、迷惑だとか自意識過剰だとかと批判もされるだろうし、バカ呼ばわりする人もいるだろう。学生たちを、なによりイースト先生を困惑させることになるかもしれない。まあ、講義に来て質問しろといったのは先生本人なのだが、冗談のつもりだったのかもしれないし。結果、大きなゴタゴタに発展する可能性だってある。余計なことはしないに限る。触らぬ神に祟りなしだ。、、、いやいやでもイースト先生は、デリディアンなわけだし、「歓待」してくれるはずだろう。うーん、しかし、、、といった具合に不安は尽きなかっただろうし、実際かなりビビリながら大学へ乗り込んで行ったんじゃないかと思うのだ。少なくとも常野さんのパフォーマンスがお気楽、身勝手、自意識過剰なものでないことは、井口先生とやらと一緒に写った写真の引きつった表情が物語ってくれていると思う。ハッピーエンドで終わって読んでる私もホッとしちゃったよ。

 でも常野さんには最初からひとつの結論しかなかったのだ。常野さんがサヨクであるのなら、、、。サヨクにはたとえ批判されるとわかっていても、行かなければならないときがある。バカ呼ばわりされるとわかっていても行動しなくてはならないときが。常野さんはそうしたサヨクの使命に敢えて殉じたわけである。
 サヨクの願いは、全人類の幸福、しかもいつともつかない未来のことだけを考えているのではなく、この現在の瞬間をわくわくするような面白さで満たし、本当の意味で生きがいのあるものにすることだ。基本的には常野さんが行っているのは、そのために現実の社会に介入し、対話を求めることであり、ごくごく正当なことだろう。ただサヨクはその行動を誰彼に頼ることなく基本的にひとりぼっちで背負わなければならない(同志が協力してくれることはあるだろうが)。そういう涙ぐましくも誇らしい気負いが、常野さんの報告からビンビン感じられるのだが、どうしてこれを無意味な暇つぶしみたいなものとしか判断できないのかな。
 まあ確かに、イースト先生に質問し、議論するという目的からすると、今回のパフォーマンスは失敗だといえなくもないが、この失敗はなかなか生産性の高いものだったと思う。
 まず、常野さんの報告は、授業料を払っている学生でなければ滅多にお目にかかれないビックネームのリアルな人間的一面を垣間見させてくれて、イースト先生の読者にとっても、あるいはそうでなかった人にとっても、この報告の存在は彼のテクストの読み方に微妙な影響を与えるかもしれない。
 それに、この常野さんのへっぴり腰な一撃がイースト先生本人の中に何らかの応答を促すことができるかもしれない(残念ながら先生はそうするに値しない とお考えのようで、常野さんをどうも病的なほど自意識過剰な人という、イースト先生にとって面と向かってかかわる必要のない存在にカテゴライズして納得してしまったようなのですが)。
 また、この一件を目撃した人、学生、そしてネットで読んでいる人に何かを考えさせるものだった。ま、私自身もこうして考えちゃってるわけです。

 つまり、常野さんは何かエゴイスティックな欲望だけに衝き動かされてるのではなく、全ての人との対話を考えて行動し、立派に情報や知を生産しているじゃないか、ということだ。大学の研究室など、知の生産現場のような顔をしているけど、どちらがより有意義な生産をしているのかはわかったものではない。ことに体制批判的な知の場合、その生産現場はどぎつい異臭を放っているもので、お行儀のよい学校の教室だけからそういうものが生まれてくるとは思えない。むしろ常野さんが巻き起こした一部始終のほうがよほど生産的であったのではないですか。なるほどその生産は商品として価格が付いて売れるわけではないが、常野さんによる世界に対するひとつの贈与だったと考えることができる。
 それを、この人 が書いているように、この一件を「名を上げる」とか「芸の肥やし」とか「いらん苦労」としか見れないのは哀れむべきことだよ。ライターや講師としての成功みたいなことはどうでもいい、、、ってのは言い過ぎだけど、そんなものの「一流」がなんだっていうのだろう。この人がどれだけ一流なアカデミシャンなのか私は知らないが、常野さんはそんなものにはたいして興味がないんじゃないかな。この人がアカデミズムの中での格付けに並々ならぬ関心を抱いているのは別に構わないが、そういう自分の物差しだけで他人を判断してしまうのはいかがなものでしょう。名前が売れて、それなりの権威や力があれば世間の注目だけは集められるかもしれないが、そういうことは二の次の問題。大切なのは、私たちは何の力がなくとも、アカデミックなシステムに則らなくても、こうして知や情報を生産し、現在を彩り、未来へ向けてこの経験を送り届けることができるということだ。常野さんはそのことも示してくれている。

 以前、不登校の経験がリベラルに脱臭され、回収されてしまうことへの怒りを常野さんは文章 にしていましたが、いまだにこうして不登校のとき同様、ビックネームや大人ぶったアカデミシャンの顔をしかめさせるような「臭い」生産を続けているんですから恐れ入ります。やっぱサヨクってのは臭くなくっちゃね。

Comments
 
その論法でいえば9.11はとっても生産性のある行為。
古いよ
 
まあ、9.11が多数の人間の殺戮(対話の拒絶)を目的としたものでない、根の明るいアクションだったとしたら、私もそう思いますが、、、何千人の命と引き換えに得ることのできた知、、、ってのは、ずいぶんコストパフォーマンス悪くないっすか?
 
常野さんとやらのアクションは、パフォーマンスが良かったのですか?
私はそうは思いませんけどねぇ。
 
そりゃ、あくまで主観的なことですから、「おもしろくない」と仰るのであれば「そうですか」と申し上げるほかないと思います。ただ私の場合、一連の東氏の反応に、「おや?」と思い(想像と違って意外に偏狭な常識人という印象を抱いたので)、興味深く常野さんや、他の人の関連エントリーを読み、歴史修正主義とポストモダンの関係なんかにも関心を持ったのですが、それはかなり常野さんのアクションおかげだと思ってます。
 
主観の話だけに落とし込むと、また9.11の話に戻る四。
ビンラディンのおかげでグローバリズムについて考えることが出来た。
そりゃそうでしょう。でも、手法はいただけないよね。
僕が常野さんに感じるのは、そこんとこ。
 
だから常野さんの平和的な行動に何か問題があるんですかねえ? 暴力的だというなら、人間存在は基本的に暴力ですよ。ただ、てめえの主張のために人を殺してもいい、なんていう独善的な行為は問題にならない。あくまでよりよき共生を考えての行動が生産的なのだと思います。授業妨害だという話もありますが、そもそも、授業で質問しろ、と言ったのは東さんだったわけですから。迂闊だったと後で撤回しているようですが、言っちゃった以上は学校や学生に迷惑がかかるとか言い訳しないで、東さんの責任で質問を受ければよかったんですよ。「よし、入れよ!」ぐらいの事言って、学生も喜ぶ面白い授業のおかずにすることぐらいできだんじゃないのかなあ。いろいろご都合もあるんでしょうけど。

テロのみならず戦争も、残された人の中に反省的に何かを産み出し、知識人たちに言説を生産させる、とは言えましょう。しかしテロや戦争自体は、破壊であり、取り返しのつかない(あとから生産なれたものでは埋め合わせることなどできない)損失でしかありません。ですから私なら「ビンラディンのおかげ、、、」とは口が裂けても言えませんねえ。

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プロフィール

荒井賢 (Ken Arai)

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 生年月日 1964年2月15日
 職業 アニメーション背景制作
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