泥沼通信

祭りの戦士 @ กลับมาจากกรุงเทพฯ

 

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タイ情勢の参考に

タイ政治危機 目覚めた「持たざる者」たち (2010.4.29 01:20)元記事

 バンコクの中心部をタクシン元首相の支持派が占拠して1カ月半、タイの政治危機に打開の糸口は見えない。タクシン氏を失脚させた3年半前の軍事クーデター以降、国内の対立は深まるばかりだ。その裏にあるのは、この国特有の二重構造であり、その矛盾に気付いた貧困層や地方住民の政治的覚醒(かくせい)である。
 イサーンと呼ばれるタイ東北部のある寒村に正義感に燃える若い教師が赴任する。木材を不法伐採する地元の顔役に教師は敢然と立ち向かうが、1発の凶弾に倒れる。こんな内容の映画「田舎の教師」が公開されたのは1979年のことだ。タイで大評判になり日本でも紹介され、筆者も見た。静かな語り口の中に社会の不正への怒りをにじませた秀作だった。
 監督のスラシー氏はこの作品を再映画化し、今年1月に公開された。「抑圧、不平等…。地方の人々が直面する問題はこの31年、変わっていない。現実はむしろ悪くなっている」。再映画化の意義を監督はこう語る。
 イサーンは北部とともにタクシン派の最大の支持基盤であり、一連の政治危機のキーワードでもある。総人口の3分の1を占めるが、土地はやせ、乾燥している。タイの最貧困地域であり、建設労働者やタクシー運転手などとしてバンコクに出稼ぎに出る者が多い。今回のデモ参加者の多くもイサーン出身だ。
 タイ国家経済社会開発庁によると、地域別の1人当たりの年間所得(2006年)はイサーンが3万6500バーツで最低だ。東部に次いで小差で2位のバンコク首都圏は29万バーツでイサーンの8倍近い。1995年からの所得の伸び率もイサーンは地域別で下から2番目の低さだ。
 タイのもう一つの二重構造は大きな貧富の差である。国連の統計によると、タイのジニ係数(所得格差の大きさを示す指標)は中国やインド、インドネシアよりも大きい。全世帯を富裕度に従って5分割した場合、最富裕層を構成する20%の世帯が全体の富の69%を握り、最下層の20%は富の1%しか持たないというタイ中央銀行の統計もある。
 タクシン派が政府打倒の闘いを「アマタヤ」に対する「プライ」の階級闘争と位置づけるのはこの二つの二重構造のためだ。アマタヤはタイ語で貴族やエリート、支配階級を意味する。プライは農民や庶民、下層階級といった意味だ。
 外国の有名ブランド店や最高級ホテルが集まるバンコクきっての商業地区をタクシン派が長期占拠しているのはここがアマタヤの象徴だからであり、英国生まれ、名門のイートン校、オックスフォード大出身のアピシット首相も、タクシン派にはエリート支配の象徴と映る。
 大富豪のタクシン氏が「持たざる者」の代表というのはこの上ない皮肉である。民主主義の旗手を自任するタクシン氏だが、金権と専横、身内びいきで政治を汚した氏にその資格があるとも思えない。しかし、タクシン氏がその統治と失脚を通じてプライを政治的に目覚めさせたことは間違いないと多くの識者は見る。
 地方や都市の貧困層を対象にしたばらまき政策でタクシン氏は人気を集めた。そのタクシン氏を軍はクーデターで倒し、総選挙で勝利したタクシン派政党も2度にわたり司法の介入で解散させられた。エリート層による露骨な権力横取りとプライは反発した。その結果が今回の赤服集団の実力行使である。
 政治評論家のスラナン氏はデモの熱気を「何世代も抑えこまれてきた力が一気に解き放たれたかのようだ」と評する。チュラロンコン大学のティティナン教授も「持たざる者たちは沈黙と受け身の立場に再び戻ろうとは思わないだろう」と指摘する。
 解き放たれたエネルギーはどこへ向かうのか。タクシン派の集会を見て気付くのは、敵対する反タクシン派の黄服集団にあふれる国王の写真がほとんど見当たらないことだ。プライにとってエリート層の中核である王室は現在の政治対立の当事者である。だから国王も今回は従来のように中立的な調停者の役割を演じることができない。
 カシット外相は最近、訪問先の米国で今回の政治危機に関連して、王制のあり方を議論すべきときだという異例の踏み込んだ発言をした。持たざる者の政治的覚醒は王制論議というタブーの封印を解くかもしれない。その兆しはすでに見え始めている。
(在バンコク・ジャーナリスト 鈴木真)



 ちょっと怪しいサイトだが、アジアの社会をよくみているこちら
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