泥沼通信

祭りの戦士 @ กลับมาจากกรุงเทพฯ

 

Category: 思想など   Tags: 思想  原発  

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ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会についての注解』に原子力発電に関する記述があった

のでちょっとメモっておく。

スペクタクルは、それが打ち立てた見事な秩序をいくつかの危険が取り巻いていることを隠さない。海洋汚染と熱帯雨林破壊は地球の酸素補給への脅威となっているし、オゾン層は工業の進歩に抵抗できなくなってきている。また、原子力から発する放射能は不可逆的に蓄積されている。スペクタクルは単に、それらは重要ではないと結論付けるだけである。スペクタクルが議論しようとするものは、ただ、時期と量だけだ。そしてただその点においてのみ、安心させることに成功するのである。スペクタクル以前の時代の人間なら、そんなことができるとは思わなかっただろう。



スペクタクル的民主主義の方法は、全体主義的な独裁(ディクタート)の単なる乱暴なやり方とは逆に、きわめて柔軟性に富んでいる。物事(ビール、牛肉、哲学者)がひそかに変化したときにも、名前をそのまま使うことができる。また、物事がひそかに続いているときに名前を変えることができる。例えば、イギリスでは、ウィンズケールの核廃棄物再処理工場は、1957年の悲惨な火災の後、疑惑を逸らす目的で、それが置かれた街の名からセラフィールドと呼ばせるようになったが、こうした地名の処理も、周辺地域の癌と白血病が原因の死亡率の増加を減らすことはできなかった。当時、イギリス政府は──30年後に民主的にそのことを知らされたのだが──、大衆が原子力に寄せている信頼を揺るがせる性質のものであると当然にも判断したこの大惨事に関する報告を秘密にしておく決定を行ったのである。



あらゆる分野ですでに多くの秘密が必要であることは周知の事実だが、軍事であれ民間であれ核開発には、他のどのような分野よりも大きな秘密が必要とされる。この体制の支配者たちによって選ばれた学者たちの生を──すなわち嘘を──楽にしてやるために、、便利なやり方が考え出された。つまり、尺度を次々と変え、ますます数多くなってゆく観点に従ってその尺度に変化を持たせ、それを洗練させて、互いに換算しにくいそれらの数字のいくつかを、ケースに応じて、うまく手玉に取ることができるようにするのである。その結果、放射能を測定するために、次のような測定単位が準備されることになった。キュリー、ベクレル、レントゲン、ラド、別名、100分の1グレイ、レム、それ以外にも、安易に使われるミリラドや、100レムのことにほかならないシヴェールも忘れてはならない。これを見ると、イギリスの通貨の下位区分のことを思い出す。その複雑さは外国人にはすぐにマスターすることはできなかった。それは、セラフィールドがまだウィンズケールと呼ばれていた時のことだ。



1987年6月、EDF〔フランス電力公社〕施設部副部長、ピエール・バシェは、原子力発電所の安全性についての最新の見解を明らかにした。バルブとフィルターを取り付ければ、「区域」の全体に被害をもたらすような大規模な大惨事や、原子炉の亀裂や爆発はより容易に避けることができるようになる。そうした大惨事は、〔汚染物質を〕閉じ込めようとしすぎることから生じるのである。そんなことをするぐらいなら、むしろ、機械が暴走する兆しが現れるたびに、ゆっくりと圧力を下げ、数キロメートルの範囲内の狭い隣接区域──その範囲は、風向きによって、その都度、偶然に左右されて変化するだろうが──に放出するほうがよい。過去2年間に、ドローム県のカダラシュで行われた秘密のテストでは、「廃棄物──そのほとんどはガス──は原子炉内部の放射能の0・何パーセントか、最悪のケースでも、1パーセントを超えなかった」と、彼は明かしている。この最悪のケースというのは、それゆえ、非常にわずかなものである。なにしろ、1パーセントなのだから以前は、事故の場合を除いて、いかなる危険も論理的にあり得ないと確信されていたのである。最初の数年間の経験によって、この推論は次のように変えられた。事故は常にありうるのだから、なすべきことは、その事故が大惨事の域に達するのを避けることであり、それは簡単である。少しずつ節度ある仕方で汚染させるだけでよい。ポーランド人のようにすぐに酔っ払い始めるよりも、1日に1・4リットルのウォッカを数年間飲むだけにしておく方が、限りなく健康であると感じない者がいるだろうか、というわけである。



「この体制の支配者たちによって選ばれた学者」、、、今日言う所の御用学者ですな。くわえて「ベント」の話題、、、設計者の後藤政志さんの怒りの会見が思い出される。
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荒井賢 (Ken Arai)

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